婦人科看護師きくとまです。今回はプレコンセプションケアについてお伝えしたいと思います。プレコンセプションケアって知っていますか?あまり聞きなれない言葉ですが、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことをいいます。性や妊娠に関する知識を、男女ともに、身に付けてもらうことを目指しています。今回は、男女とも妊娠を望む前に心掛けておいてほしい事をお伝えしたいと思います。
妊娠前の健康配慮はどうして必要なの?
日本は世界とくらべ、生後間もない赤ちゃんの死亡率は少ないのに、2500g未満の低出生体重児の生まれる割合が増加傾向にあります。背景には、母親の痩せによる低栄養が考えられています。また、痩せや肥満は不妊の原因になります。肥満は糖尿病や高血圧など妊娠時、妊娠中の合併症リスクを高めます。
その他、生理痛や生理不順ををそのままにすると、不妊に繋がることがあります。赤ちゃんの臓器は、母親が妊娠に気付くころにはすでに基礎が出きています。妊娠前の生活習慣や病気が、赤ちゃんの健康に影響するため早めの対策が必要なのです。
妊娠する前に女性が気を付けておくことは?何から始めたらいいかな?
赤ちゃんが欲しいなと考えてきたら、栄養バランスのとれた食事や睡眠、適度な仕事や運動など、自身が心地よい生活を送るよう心がけましょう。
妊娠する前に気を付けておくこと
- 妊娠前より薬の服用に注意・・・妊娠初期の症状は風邪に似たものも多いため、自己判断で安易に市販薬を使用しないようにしましょう。
- 禁煙・・・喫煙本数が多いほど妊娠しにくく、妊娠したとしても早産や流産、赤ちゃんの生育不良を招くとされています。また、周囲にいる喫煙者の煙(副流煙)にも注意が必要です。
- アルコール・・・度数を問わずお酒は控えましょう。なお、妊娠中にお酒を飲んでしまうと、アルコールは胎盤を通しておなかの赤ちゃんへ強い影響を与えます。
- カフェインの摂取・・・妊娠前も注意が必要です。少量のカフェインは血行を促進する作用がありますが、過剰摂取すると自律神経の乱れで血行不良や不眠などを起こすことがあります。
- ダイエット・・・体重の急激な減少により、女性ホルモンが正しく分泌されなくなり、排卵が起きなくなる場合があります。
- 葉酸摂取・・・代謝に関係する栄養素であり、DNA・RNA、たんぱく質の合成を促します。妊娠を希望する1ヵ月以上前から積極的に葉酸を摂ることで、お腹の赤ちゃんの脳や脊髄の発達異常とされる神経管閉鎖障害のリスクを減らせることがわかっています。
- 感染症の検査・・・風疹の抗体検査、子宮頸がん検診、乳がん検診、性病に感染していないことを確認しておきましょう。
赤ちゃんが欲しいと思ったら、男性が心掛けておくことは?
赤ちゃんが欲しいな……そう思ったら、「男性もいっしょに妊活」です。まずは、元気な精子が作られるよう、毎日の生活を改善しておきましょう。精子を元気に保つためにできることがたくさんあります。
妊娠前男性が健康な精子を作りだす方法
- 禁煙を!‥‥喫煙は血管が収縮して血流が悪くなります。多数の血管が張りめぐらされているペニスの海綿体への血流も悪くなってED(勃起不全)になる可能性があります。喫煙による酸化ストレスが精子の数を減らしたり、DNAの構造を傷つけることもわかっています。
- 性欲を我慢しない‥‥精子は毎日つくられ死んでいきます。禁欲すると古い精子がたまることになり、精液全体の質が下がってしまいます。それよりも、毎日新しく元気のいい精子が次々と送り出されるほうが妊娠には有利です。マスターベーションでいいので、ためずに射精することで元気な精子を保つことができます。
- 筋トレ‥‥精子の状態を改善するためには少なくとも3ヶ月以上のトレーニングが必要であります。一度改善した精子は運動をやめても1ヶ月程度であれば改善が担保されます。継続した運動は精子の質を改善し、妊娠率、出産率ともに改善することがわかっています。また運動による抗酸化作用は全身の老化防止作用が期待され、生まれてくる赤ちゃんを健康的な体で迎えることができると言われています。精子の改善を期待したい方は、極端なダイエットや低糖質などを行わず、日常の運動をしっかり行っていくのが大切です。
- 睾丸を温めない‥‥精巣の精子をつくる造精機能は、熱にとても弱いのです。下着は風通しのよいトランクスを。毎日のようにサウナや長風呂で局所をあたためるのも、元気な精子のためには避けましょう。
- 自転車に気を付けて‥‥長時間、前傾姿勢で自転車に乗ると、サドルが男性器近くの会陰にあたって、ペニスへの血管を傷つけるおそれがあります。これがEDにつながることがあったり、前立腺が炎症を引き起こすことがあります。すると、精子の輸送が妨げられ、精子の運動率が下がるため、長時間乗るときは、股間を保護するようなサドルに変えたり、サドルからたびたび腰を浮かせて会陰の血流を確保しましょう。
- 育毛剤に気を付けて‥‥薬の成分には男性ホルモンの作用を抑える働きがあり、副作用として、性欲減退や射精障害、精子数の減少、EDなどが起こることがあります。副作用が起こるのはわずかな割合ですが、妊活中は髪のケアはお休みするのがいいでしょう。
まとめ
妊娠したいな、そう思ったら、男女とも、健康配慮が必要です。妊娠前に食生活や飲酒、生活習慣を正すことで、将来の妊娠率や健康な赤ちゃんが生まれることが期待できます。相談は婦人科でもできますので、かかりつけの婦人科、産婦人科にて相談してみましょう。
また、妊娠前の健康について詳しく知りたい!そんな方は、「国立成育医療研究センタープレコンチェックシート」で検索してみてくださいね。妊娠を考えている方が健康で元気な赤ちゃんを産めるよう願います。