妊娠中絶が手術でなく、飲み薬で行うことができるという薬が国内初、2022年以降に承認されるかもしれない(2022年3月現在まだ未承認)

婦人科看護師、きくとまです。

私はこれまで多くの患者さん、妊婦さんを見てきました。そんな中で思いもよらず妊娠してしまい、赤ちゃんを育てるお金もなく、また色々な事情で、仕方なく中絶を余儀なくされた方もいらっしゃいます。望まない妊娠をしてしまった女性に、手術以外で解決する選択肢が出来るかも知れない「経口中絶薬」が日本で承認されるようです。「経口中絶薬」は、すでに世界70か国以上で使われており、認められれば、国内初の中絶のためのお薬。では、どのような薬なのでしょうか?

スポンサーリンク

国内では中絶は手術に限られていた

現在、日本での中絶件数は、2020年に約14万件でした。国内の中絶は、これまで手術だけに限られ、金属製の器具で子宮の内容物を掻き出す「掻爬(そうは)法」と、管で吸い取る「吸引法」が用いられています。

日本では、妊娠を阻止するための緊急避妊薬(アフターピル)はある

緊急避妊薬(アフターピル)は、避妊をしなかった、もしくは避妊はしたけれども失敗してしまった時に、その性行為が行われた72時間以内に服用する薬のことです。推奨されている時間内にできるだけ早く服用することで、妊娠を阻止する効果が期待できるお薬です。薬の種類によって妊娠阻止率は違っていますが、72時間(3日)以内の服用で約70%以上と言われています。

経口中絶薬で妊娠を阻止する仕組みは?

「経口中絶薬」を使った中絶方法では、妊娠状態を薬によって中断し、人工的に陣痛を誘発して胎児を排出することで、妊娠を阻止します。
諸外国によりさまざまな経口中絶薬や、それぞれの服用方法がありますが、WHOが推奨しているのは、2種類を併用する方法です。

妊娠中はプロゲステロンというホルモンが分泌されることで、妊娠状態を継続します。経口中絶薬の多くは、プロゲステロンの分泌を抑制する成分を含んでいます。プロゲステロンの分泌を抑制することで、強制的に妊娠の維持が不可能な状態にします。

WHOが推奨する方法では、ミフェスプリストンという薬でプロゲステロンの分泌を抑制し、続いてミソプロストールという薬によって子宮収縮を起こし陣痛を誘発します。
陣痛を誘発して胎児を排出するため、もちろん痛みを伴います。しかし、日本で主流とされている初期中絶方法よりも母体への影響は少ないと考られているようです。

飲む中絶薬のメリットは

国内の治験では、妊娠9週までの妊婦120人の93%が24時間以内に中絶できたという報告があり、6割に腹痛や嘔吐などの症状があるも、薬との因果関係があるとされた副作用は約4割だったそうです。手術に比べると、女性の身体への負担はかなり少ない方法と考えられます。

手術に比べて薬なら費用も全く違う

日本国内で中絶の手術は、保険診療ではないため10~20万円と費用がかかります。しかし、世界保健機関(WHO)の資料によると「経口中絶薬」の海外での平均価格は約740円程とのこと。承認された時、日本でどれくらいの金額になるかは不明ですが、手術を行うよりもはるかに安い価格になることは間違いないでしょう。

まとめ

日本では、中絶に対する否定的な考え方もあり、なかなか認められてこなかったのですが、もし、承認されれば、女性が手術という選択をせず、薬で中絶が出来ることが可能になり、身体への負担も少なくて済むことになります。子宮を傷つけるというリスクも避けられるため、次の妊娠に向けて前向きに考えることもできるのではないでしょうか。

しかし、安くで、安易に中絶が出来るという見方もあります。一つの命が宿ったことをしっかり認識し、やむを得ず妊娠の継続をできない場合にのみ使用して欲しいと思います。

この記事を書いた人
きくとま

婦人科看護師。受胎調節実地指導員、ピンクリボンアドバイザー取得。
思春期からおばあちゃんまで、全ての女性を診るのが婦人科です。女性ならではの心配事、病気について、心配なことがあったらいつでもご相談下さい

きくとまをフォローする
婦人科
スポンサーリンク
きくとまをフォローする
タイトルとURLをコピーしました